若手海外派遣(東北大学・中川亮さん)の報告を掲載しました
若手研究者海外派遣報告
東北大学大学院理学研究科
M2 中川 亮
私は2023年6月から2ヶ月間、フランスのパリ高等師範学校にてRomain Jolivet教授のもとで共同研究に取り組みました。テーマは四国西部のGNSS変位からプレート境界の短期SSEを検出する深層学習手法を構築するというものです。ハイパーパラメータの設定等の工夫やS/N比を向上させるためのデータ前処理が不要である深層学習を活用し、SSE検出手順の簡素化と高精度化を狙いとしています。Jolivet教授のグループでは別種の地殻変動観測技術であるInSAR時系列データからミリメートル規模の変動を抽出する手法を構築されており、そのノウハウから空間分布のみを推定する現在進行中のスキームに留まらず、複数GNSS観測点時系列データから時空間的に短期的SSEを検出する手法のアイデアまで議論することができました。現在はモデルの細やかなチューニングや仮説検証を経て構築の方針が固まり、どのような場合に既存のインバージョン手法を上回る推定精度を実現できるのかを丁寧に検証している状況です。本手法を確立させた後は四国西部での時空間的な短期的SSE検出、そして最終的には四国西部以外でも適用可能な検出手法を構築したいと考えています。
まだまだ半人前の私にこのような貴重かつ有意義な共同研究の機会を下さったSF地震学関係者・事務局の皆様、大学の先生方や事務の皆様に厚く御礼申し上げます。今後も一段と気を引き締め、研究に邁進して参ります。