若手海外派遣(東京大学・垣内優亮さん)の報告を掲載しました
SF地震学 若手海外派遣報告書
垣内優亮
東京大学工学系研究科
2025年10月2日から10月30日まで、フランスのグルノーブル・アルプ大学(University of Grenoble Alpes)にて在外研究を行いました。本滞在は、Florent Brenguier氏のもとで雑微動から実体波を抽出し、それを用いた地殻深部のモニタリング手法について学ぶことを目的としたものです。また、今回の滞在をきっかけとして共同研究も開始することになりました。
Brenguier氏の研究室では、FaultScanプロジェクトとして、カリフォルニア州の San Jacinto 断層付近に約300台の地震計を2022年から2024年にかけて設置し、稠密アレイ観測を行っています。本滞在では、この稠密観測データを用いた解析に取り組みました。これらのデータは大学のデータサーバー上に保管されており、大学の高性能計算機(HPC)を用いて解析を実行できます。滞在初期には、これらの計算機・データサーバーを利用するための環境構築を行い、SSH接続を通して日本からデータへのアクセスと計算ができる環境を整えました。
滞在後半では、Brenguier氏の研究室で力を入れて行なっていた「貨物列車を震源とした実体波抽出・モニタリング」の解析を行い、手法について学びました。また、ほかの震源を用いた新たな解析も行い、想像以上に良い結果を得ることができました。これら新たな解析の成果については、日本帰国後もフランスのチームと定期的にミーティングを行い、共同研究として継続することとなりました。
滞在中は、これまでの自身の研究成果を研究室内や滞在先研究機関である ISTerre にて発表し、多くの建設的なフィードバックを得ることができました。また、他研究機関からの訪問研究者や学生による発表も多く行われており、幅広い分野の議論を行うことができました。フランスの研究室ではセミナーやディスカッションが非常に活発であり、その文化に大きな刺激を受けました。さらに、Brenguier氏からは、焦らず丁寧に解析を行いデータをよく見ることの重要性を教えられました。同時に、明確な目的をもって研究を進めることの大切さについても学ぶことができました。
本滞在では、1ヶ月間研究に集中することができたうえ、新たな共同研究プロジェクトも立ち上げることができ、非常に有意義な1ヶ月間となりました。今回の在外研究をご支援くださった関係者の皆様、事務局の皆様に心より感謝申し上げます。

写真1 ISTerreの外観

写真2 周囲は断崖絶壁の山に囲まれている。