ランダムグループイベントを開催しました
異分野交流を促そうという目的で若手・ダイバーシティタスクフォース発案のもと、ランダム交流イベントを実施しました。2月下旬に領域全体に呼びかけたところ、学生・ポスドクから班長・領域代表、大御所までの36人がエントリーしてくれました。分野や年齢層・所属があまり被らないように3-4人ずつの合計10グループに振り分け、3月から4月にかけてそれぞれ1-2時間x1-2回の交流を行いました。28人から得られた事後アンケートによると、お互いの研究紹介や自己紹介は必ず行っており、そのほかにも研究環境・仕事や将来の共同研究について話が発展したところもあったようです。今後も同様のイベントがある場合の参加希望はなんと100%でした。また、異なる分野や所属の人と交流したいという声や、他の分野の講義を受けたり実験の見学や巡検など対面での交流を望む声も多くありました。中には対面での交流を実施してくれたグループもあり、主催者側の想定以上の盛り上がりとなりました。対面交流に参加してくれた学生さんの感想も以下に紹介します。
(総括班 若手・ダイバーシティ担当 竹尾明子)
Slow-to-Fast地震学 ランダムイベント@産総研に参加しました
大柳修慧・佐脇泰典(京都大学 博士課程3年)
去る4月25日(月)に、産業技術総合研究所(以降、産総研)でSlow-to-Fast地震学(以降、SF地震学)のランダムイベントが開かれました。このイベントには同研究所ほか京都大学や高知大学からも参加者がつくばに集まり、久々に対面でのワークショップとなりました。当日は午前中に高橋美紀博士(産総研 地震テクトニクス研究グループ・グループ長)から「せん断応力制御実験による高速滑りへの自発的移行」というタイトルでご講演いただいた後、講演中に紹介された「応力制御実験装置」の実機を見学させていただきました。講演で特に印象に残ったのは、クリープ試験における制御の難しさについてで、「約2週間、ひたすら暴走滑りが起こるまで応力載荷し続ける」という旨のご説明があったことです。摩擦実験は数時間から数日スパンで同じ実験を繰り返し行うものとばかり思っていたので、発生のタイミングが分からない暴走滑りを記録するために、2週間もの長きに渡って一つの実験を継続する事もあると知って大変驚きました。時間スケールの長さは自然地震観測にも通じるものがあると感じました。実験内容については講演後の議論でもかなり盛り上がり、他の参加者からは「暴走滑りが起きる頃になったらみんなで集まって、ディスカッションをしつつ『暴走滑りを見守る会』をしよう」などの提案がありました。
午後は2グループに分かれて、SF地震学で行うと面白い研究などについてブレインストーミングが行われました。報告者らのグループではDAS(Distributed Acoustic Sensing)やDSS(Distributed Strain Sensing)の適用可能性について、地震学・地質学・技術開発の面から活発な議論が展開され、多様な分野の参加者が対面で議論を行うことの利点を実感した有意義な時間でした。また、SF地震学のもとで行われているその他の室内実験や地質調査なども見てみたいという意見があり、(お邪魔にならない範囲で)見学させていただけるなら、分野間での交流がより促進されそうな期待を持ちました。
最後に、本ランダムイベントを主催してくださった宮川歩夢博士(産総研 地球物理研究グループ・主任研究員)、企画立案いただいた大久保慎人博士(高知大学 理工学部・准教授)・伊藤喜宏博士(京都大学 防災研究所・准教授)・寒河江皓大博士(産総研 地震テクトニクス研究グループ・特別研究員)、ご講演と実験装置の解説をいただいた高橋美紀博士、そして参加経費を助成してくださったSF地震学に感謝申し上げます。十分な感染症対策を念頭に置いた対面集会の機会が、今後増えていく世の中になることを期待しつつ、また是非、暴走滑りを見守りながらあれこれディスカッションさせていただけると嬉しいです!